熱射病について

熱中症とは?
 熱中症とは、体の中と外の"あつさ"によって引き起こされる、様々な体の不調であり、専門的には、「暑熱環境下にさらされる、あるいは運動などによって体の中でたくさんの熱を作るような条件下にあった者が発症し、体温を維持するための生理的な反応より生じた失調状態から、全身の臓器の機能不全に至るまでの、連続的な病態」されています。(熱中症という漢字には、読んで字のとおり、「熱に中る」という意味をもっています。)
 熱中症というと、暑い環境で起こるもの、という概念があるかと思われますが、スポーツや活動中においては、体内の筋肉から大量の熱を発生することや、脱水などの影響により、寒いとされる環境でも発生しうるものです。実際、11月などの冬季でも死亡事故が起きています。また、運動開始から比較的短時間(30分程度から)でも発症する例もみられます。

熱中症は、次の様な状況で起こりやすくなります。
・前日までに比べ、急に気温が上がった場合
・梅雨明けをしたばかりの頃
・気温はそれほどでなくとも、湿度が高い場合
・アスファルトやコンクリート、草の生えていない砂地など
・急に激しい運動をしたとき
・体に疲れがたまっているとき
こんなときには、熱中症にならないような配慮が必要です。

熱中症の予防方法
・寝る時間と起きる時間をなるべく固定する
・可能ならば8時間は寝る。
・しっかり1日3食食べる
・外に出るときは帽子をかぶる(みのもんたはお昼の時間帯の番組で「帽子よりサンバイザーのほうが良い」と言ってました)。
いつでも飲み物を飲めるようにしておく(「喉が渇いたなと思う前に水分補給」)。

水分補給について
 こまめに水分補給を心がければ、普通の水でも良いと思いますが、よりスピーディーに体に水分補給するなら、次のことを知っておくと役立ちます。まず、真水よりも食塩水のほうが胃から小腸へ素早く移動します。
一方、小腸からの吸収スピードは真水の方が食塩水よりも早いのですが、少量の糖分を加えると食塩水も真水に劣らない位の吸収スピードになります。(但し、糖分が多くなると胃から腸への移動速度が遅くなります。)
というわけで、水に少しの塩分と糖分を加えた飲み物が最適!スポーツ・ドリンクはこうした考えに基づいて作られています。 汗をかくと水分と一緒に塩分も失われますし、運動でカロリーも消費していますからこうした面からも塩分と糖分を含んだ飲み物が良いと考えられます。一般には0.2%程度の食塩と5%程度の糖分を含んだものが適当と言われています。
市販のスポーツ・ドリンクはやや甘すぎると思いますので、これに水を加えて薄めて飲むのが良いでしょう。
ちなみに、体重の3%以上の水分が失われると、体温調節に影響が出るといわれています。

熱中症になってしまったら?
 すぐに運動を中止して、木陰などの涼しい場所に移動してください。十分な水分の補給が必要です。意識がおかしくなるような重症の場合は直ちに病院へ運んで下さい。熱中症で命を落とすこともありますから侮ってはいけません。また、積極的に体温を冷やすことも大事です。扇風機や団扇などで風を送ってあげるのも効果的です。

熱中症の分類

熱中症は、いくつかの症状が重なり合い、互いに関連しあって起こる。また、軽い症状から重い症状へと症状が進行することもあるが、きわめて短時間で急速に重症となることもあります。
 熱中症は、大変に身近なところでおきていいます。そのため、十分にその危険性を認識しておくことが必要です。

 従来、医学的には治療方針をたてる上で、暑熱障害、熱症として、以下の3つの病態に分類されています。
@ 熱痙攣(heat cramps)
A 熱疲労(heat exhaustion)
B 熱射病(heat stroke)

 ただし、熱中症の分類は医学的にも混迷している状況にあります。これは日本語においても、英語においても同様と考えられ、このことが症状や緊急性の判断を難しくさせ、手当や診断に影響を及ぼしていると考えられています。詳しくは、安岡(1999)の報告が詳しいので参考とされたい。

 安岡の報告では、熱中症について以下のような分類を行なっています。
 総称としての「熱中症」という言葉を用いるのみで、総じて度数分類による判別を行なっている。以下、安岡の報告をまとめます。
(※度数表記に、それぞれの対応する英語ならびに日本語表記を参考として記してあるが、原則それらは用いない)
 

分類 程度 症状
T度 軽症度 四肢や腹筋などに痛みをともなった痙攣
(腹痛がみられることもある)
○多量の発汗の中、水(塩分などの電解質が入っていない)のみを補給した場合に、起こりやすいとされている。
○全身の痙攣は(この段階では)みられない。

失神(数秒間程度なもの)
○失神の他に、脈拍が速く弱い状態になる、呼吸回数の増加、顔色が悪くなる、唇がしびれる、めまい、などが見られることがある。
○運動をやめた直後に起こることが多いとされている。
○運動中にあった筋肉によるポンプ作用が運動を急に止めると止まってしまうことにより、一時的に脳への血流が減ること、また、長時間、あつい中での活動のため、末梢血管が広がり、相対的に全身への血液量が減少を起こすことによる。
U度 中等度 めまい感、疲労感、虚脱感、頭重感(頭痛)、失神、吐き気、嘔吐などのいくつかの症状が重なり合って起こる
○血圧の低下、頻脈(脈の速い状態)、皮膚の蒼白、多量の発汗などのショック症状が見られる。
○脱水と塩分などの電解質が失われて、末梢の循環が悪くなり、極度の脱力状態となる。
○放置あるいは誤った判断を行なえば重症化し、V度へ移行する危険性がある
V度 重傷度 意識障害、おかしな言動や行動、過呼吸、ショック症状などが、U度の症状に重なり合って起こる
○自己温度調節機能の破錠による中枢神経系を含めた全身の多臓器障害。
○重篤で、体内の血液が凝固し、脳、肺、肝臓、腎臓などの全身の臓器の障害を生じる多臓器不全となり、死亡に至る危険性が高い。
 

参考ウェブサイト
熱中症、熱射病、日射病のホームページ
熱中症と日射病